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全視野計測法標準化分科会
標準化および各測定法に関する解説
標準化 | 電子スペックルパターン干渉法(ESPI) | インテリジェントハイブリッド法 |
モアレ干渉法 | スペックルを用いた計測 | 赤外線サーモグラフィ | コースティックス法 | フーリエ変換格子法 | 光弾性法 | 流体
光学的干渉法など全視野計測法の長所に注目し、欧米ではこれらの方法の標準化を進めています。これに対応して、日本において標準化を進めるために大学や企業における研究者や技術者の情報の収集や交流、研究開発を行なっていきます。企業の試験研究、検査、標準化部門の方は是非お入り下さい。
標準化および各測定法に関する解説(第1回研究発表講演会より)
※是非、光学的全視野応力・ひずみ計測法に関するアンケートにお答え下さい.
主査:森本吉春
和歌山大学システム工学部光メカトロニクス学科
〒640-8510 和歌山市栄谷930
Tel: 073-457-8170,Fax: 073-457-8171
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幹事:米山 聡
大阪府立大学大学院工学研究科 機械系専攻機械システム工学分野
〒599-8531大阪府堺市学園町1-1
Tel: 072-254-9219,Fax: 072-254-9904(機械事務室)
Email:
キーワード:規格、標準化、光学的手法、全視野計測、応力・ひずみ解析、VAMAS、実験力学、ISO
- 背景と目的
光弾性法,モアレ干渉法,スペックル干渉法,ホログラフィ干渉法などの光学的応力・ひずみ計測法は,非接触で計測できること,高精度であること,高速化が可能であること,2次元の面データとして全視野での計測が可能であることなど多くの利点を有している.また,これら光学的実験計測法は,最近の英国機械学会での特集[1]や金属での特集[2]でも扱われていることからもわかるように多くの注目を集めている工業製品の品質確認には欠かせない技術である.また,種々の構造物の軽量化・複雑化が進む中で,これら光学的実験計測法を検査などの信頼性評価に用いるだけでなく,計算力学法と組み合わせて用いることにより,より信頼性の高い強度評価・設計を行うことができる.
しかし,企業においては,これら光学的実験計測法はひずみゲージなど他の計測法と比べてそれほど多く用いられてはいない.また,光学的実験計測法を使用している企業においても,新しく信頼性の高い方法・技術・機器を使っていないことが多い.この原因の一つとして,ひずみゲージ法に対してはASTM(American Society for Testing and Materials Standards)やNDIS(Non-destructive Inspection Standards of the Society)などの団体規格が存在していることが考えられる.また,日本非破壊検査協会発行のテキストブック[3]や米国Measurements group社のホームページ[4]では,ひずみゲージによる計測の手順を詳しく解説している.一方,光学的実験計測法についての規格は存在していない.また,詳しい計測・データ解析手順等が記載されたテキストブックも見受けられないようである.応力・ひずみの計測はいつ,どこで,誰が行っても同じ結果を得られなければならない.すなわち,計測データの互換性・普遍性,計測の信頼性を確保するためには規格や詳しいテキストブック等が必要である.
以上のような背景から,現在,海外においてこれら光学的実験計測法の国際規格を作ろうという動きがある.また,この標準化に合わせてASTMではすでに専門部会を設置して標準化の草案を作成している.一方,日本を含むアジア側の対応は遅れており,急がなければならない.本分科会では,欧米におけるこの標準化の取り組みをふまえ,日本側の今後の対応について検討するとともに,標準化活動を行う
- 国際標準化の取り組み
光学的全視野応力・ひずみ計測法の標準化は,1999年に英国エアバス社のBurguete[5]により提案され,新材料と標準に関するベルサイユプロジェクト(The Versailles Project on Advanced Materials and Standards,以下VAMAS[6])の中の専門部会(Technical Working Area, TWA)の一つTWA26[7]として活動をはじめた.VAMASは1982年にベルサイユで開かれたサミットの際に合意に達し,1987年に発足した.その目的は,参加国の間で標準化にかかわる活動を通して新材料に関連した新技術の発展を促し,経済的な交流を活性化しようというものである[8].また,VAMASはISO(International Organization for Standardization)との連携が深く,VAMASでの活動の成果は最終的にISOの国際規格にするのが目標である.
VAMAS TWA26には,日本から隆雅久(青山学院大学)と森本吉春(和歌山大学)が招待参加者としてメンバーに加わっている.2000年6月には,Orlandoで開かれたSEM実験力学国際会議において,VAMAS TWA26の主査であるBurguete (Airbus UK Ltd) とPatterson (The University of Sheffield) の呼びかけにより最初の集会が行われた.ここでは,各国からそれぞれの国・地域における光学的実験計測法に関する規格についての状況が報告された.具体的には,ヨーロッパでは,企業における光学的実験計測法の利用状況のアンケートが実施された.また,ASTMは光学的実験計測法の標準化に関して素早く反応し,専門部会(ASTM E08-24 committee)において専門用語の標準化についての検討がされた.今後,このような実験力学関係国際会議に合わせてVAMAS TWA26の集会が開催される予定である.なお,詳しくはVAMASホームページ[6]やVAMAS TWA26ホームページ[7]を参照していただきたい.
- 当分科会における活動
光学的全視野応力・ひずみ計測法の標準化が進み,国際規格が制定された場合,日本国内で関連する機器を生産している企業,それら光学的実験計測法を用いている企業にも影響を与えるであろう.このような企業の方にはぜひ当分科会に入会し,意見を述べ,標準化活動をしていただきたい.
ヨーロッパアメリカ共に標準化に対して積極的な姿勢を示しており,日本を含むアジア側も何らかの対応をする必要がある.2000年11,12月,シンガポールで行われた実験力学国際会議の際に開かれた実験力学アジア会議(ACEM)の集会においても,アジア側として対応する必要があり,まず情報が欲しいという意見が出された.
国際標準化に対して日本側から何か提案するべきか,また,国際規格に合わせて国内規格を整備するべきかどうかなど,これら光学的実験計測法を研究・使用している方々と共に考えていきたい.現在のメンバーは規格や標準化については素人であり,標準化の経験者の入会を強く希望している.また,この分野の専門家の方々にも協力をお願いしたい.今後,VAMAS TWA26の集会は2001年にPortlandで開かれるSEMの会議や2002年にViennaで開かれる欧州実験力学国際会議で開催される予定である.これに対応するため,日本で日本非破壊検査協会,日本機械学会とも協力して,日本側の意見をまとめていきたい.また,国際ラウンドロビン試験等を行ったり,日本の要求を主張するためには,標準化のための予算確保も必要である.官公庁や企業の支援をお願いしたい.
分科会の具体的活動
- 欧米の動きを伝えるための情報収集を行う.そのため,VAMASの会議に出席する.
- 全視野計測法の技術の紹介や講習会を行う.
- 全視野計測法の最先端研究の講演会を行う.
- 全視野計測法の企業における現状のアンケートや意見収集を行う.
- 全視野計測法の標準化のための試験などを行う.
- 全視野計測法の標準化案を作成する.
文 献
[1] J. Strain. Anal. Eng. Des., 33-2 (1998).
[2] 金属, 70-9および70-10 (2000).
[3] 日本非破壊検査協会,ひずみ測定I, IIおよび III, (1998).
[4] http://www.measurementsgroup.com/
[5] Burguete, R.L., On the Standardisation of Optical Stress and Strain Measurement Methods, Proc. SEM Annual Conf. Exp. Mech., Cincinnati, 261-263 (1999).
[6] http://www.vamas.org/
[7] http://www.twa26.org/
[8] 齋藤鐡哉,国際標準化におけるVAMAS, 日本機械学会誌,102-966, 302-304 (1999).
研究会活動予定
2001年6月 SEM Annual Conference on Experimental Mechanics (Portland)におけるVAMAS TWA26の集会に出席 日本実験力学会講演会において講演
2001年秋 分科会研究会
2002年7月 12th International Conference on Experimental Mechanics (Vienna)におけるVAMAS TWA26の集会に出席
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