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会長就任にあたって
日本実験力学会 会長 山本 衛
この度,第22期の会長を担当させていただくことになりました.会長任期の間は,実験力学会と出会うことができて良かった,実験力学会で気持ち良く研究活動することができた,実験力学会との関わりを今後も続けていきたいと会員の方々に感じていただけるよう,微力ながら努めて参りたいと思っております.何卒よろしくお願いいたします.この学会を立ち上げ,さらに着実な発展に貢献された歴代の会長,理事ならびに事務局の皆さまには,これまでのご尽力に心から感謝申し上げるとともに,引き続きご指導を賜りますようお願い申し上げます.諸先輩方の意志を継ぎ,学術分野の国際化と情報化が今後益々加速していく中で,本学会の存在価値をより一層高めるために,理事をはじめ会員の皆さまのご協力のもとに,現況に見合った変更や改善を適宜実施していきたいと考えております.
日本実験力学会の大きな特徴は,材料力学,流体力学,熱力学,機械力学など,非常に幅広い専門領域の研究者によって構成されているという点にあります.このような各研究者の広範な学問的背景は,新しい知見を生み出すための動力源になると考えます.一方,様々な分野の研究者が集まっていながらも,比較的アットホームな一体感がある中で,学術に関する有意義な議論を行うことのできる非常に雰囲気の良い学会であると私は強く感じております.他学会に比べると大規模とは言えませんが,学会内での風通しの良さなど,小規模であることでもたらされているメリットもあると思います.会員の方々からの要望をできる限り細かなところからも拾いあげ,些細なことであっても学会の運営改善や将来の発展につなげていければと思っています.
日本実験力学会は2018年3月に日本学術会議協力学術研究団体に指定されています.この時に,私は理事会で総務理事を担当しておりました.この団体への登録申請は,それまでに何度か指定を拒否されていた案件でしたが,当時の理事会や事務局の方々のご協力のおかげをもちまして,無事に登録学術団体への指定が認められました.後に複数の学会会員の方からお聞きしたところでは,所属機関におけるルールが近年は厳格化されたことよって,日本学術会議に認められていない学会への出張には一定の制限がある,あるいは指定団体以外の学会が発行する学術誌に掲載された論文が業績にカウントされないなど,この指定が認められていなければ,学会で活動するうえでいろいろが不都合や不利益が生じる状態を引き起こしていた可能性があったようです.昨今は,あらゆる評価や認証において,基準の明確化や客観的指標の設定が求められています.今後は,本学会の英文誌であるAdvanced Experimental Mechanics(AEM)についても,クラリベイト・アナリティクス社の論文データベースであるWeb of Science,もしくはエルゼビア社が提供する同様のデータベースであるScopusへの登録申請も視野にいれていきたいと考えています.若手向けの国際ワークショップInternational Workshop on Advanced Experimental Mechanics for Students and Young Researchers(IWAEM)が2022年度からスタートしています.また,本会主催の新しい国際会議(JSEM International Conference on Experimental Mechanics, JCEM)を2025年7月に開催する予定となっています.これらの国際会議に加えて,年次講演会,分科会合同ワークショップ,各分科会の研究会についても,参加する価値を明確に実感でき,自分の専門とは視点の異なる面白い発見があり,人的なネットワークが広がり,また是非参加してみたいと思っていただけるイベントにしていきたいと思っております.
現会員の方々が,周囲のお知り合いの研究者に対して,自信をもって本学会への入会を勧誘していただけるように,様々な改革や挑戦を進めていければと存じます.今後も会員数が増えていくような活力のある学会にするため,会員の皆さま方と共に,学会運営に取り組んでいきたいと思っております.今後とも一層のご協力とご支援を賜りますようお願い申し上げます.
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