背 景本会の前身である「日本光弾性学会」は、故西田正孝博士(元日本光弾性学会会長・名誉会長)の提唱になる「光弾性研究会」を基盤として昭和54(1979)年1月1日に発足し、これまで二十有余年の間,光弾性技法を中心とする学術の発展に尽くし、その時代に即した活動を通して産業界における実験的応力解析手法の応用に大いに貢献してきたことは多くの認めるところである。しかしながら、昨今の実験力学解析手法,とりわけ光電磁波応用計測分野,波動伝播応用計測および熱移動応用計測分野における学術・技芸の進歩・発展は目覚ましく、一に光弾性技法のみを対象として同好の士を糾合しつつ学会活動を継続することが事実上不可能になっていると同時に、より広範な学術・技芸を対象としてより多様な問題を解析しうる技法の開発と普及が急務となっていることに注目せざるを得ない状況にある。目 的「日本実験力学会」は、実験力学分野における学術・技芸の目覚ましい進歩・発展に呼応してその対象分野を拡大し、新進の研究者を糾合するべく学会の体勢を新しく構築・整備するとともに正会員数の増強を図り、かつ学会の拡充を通して斯界の学術・技芸の発展と各種産業への応用に貢献することを目的とする。趣 旨本会設立の趣旨は、以下の2点に集約される。
参 考a)現SEM(米国実験力学会)の発端は約60年前に設立されたEastern Photoelastic Society(東部光弾性学会)である。その後、1960年代後半学会名称をSciety for Experimental Stress Analysis(実験応力解析学会)とし、さらに約10年後に現在のSociety for Experimental Mechanics(会員数約3000名)に改称されて現在にいたっている。今回の我が「日本光弾性学会」の名称変更は、これを真似るわけではないが、学問分野や産業界の動向の変遷は洋の東西を問わず同様な現象を惹起するものと思われる。b)SEMの機関誌、Experimental Techniques (2000,Jan/Feb)の冒頭に当時会長のIgor Emri教授(Univ. of Ljbljana, Slovenia)が紹介しているように、実験力学の世界規模でのUmbrella Organization(傘機構)を構築しようとの動きもある。ここでは、実験力学関連分野の学会活動における相互情報交換はもちろんのこと、教育連携、産業界支援、人的交流をも視野に入れており、その名称もInternet Society of Experimental Mechanicsとするなどの提案がなされており、現在はアメリカ、ヨーロッパ、アジアの諸学会組織にそれぞれの地域に存在する連合機関を通して賛否の意向を打診している状況である。今回の名称変更はこのような世界的動向をも勘案しつつ提案されていることを付言する。 |