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会長就任にあたって
日本実験力学会 会長 塩 見 洋 一
第19、20期に引き続き、第21期の会長を務めることになりました。この責任重大なポジションに再任されたことを肝に銘じて務めて参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。これまでの歴代会長、理事ならびに事務局の皆さまのご尽力により、継続して現在の本会が運営できておりますことに感謝申し上げます。その上で本会を更に発展させ、私自身もこの大切なバトンをしっかりと次に繋げる使命感を持って、理事をはじめ会員の皆さまのご協力のもとに邁進していく所存です。
これまで情報化推進による会員の皆さまへのサービス向上として、メーリングリストを活用した情報発信はできるようになってきたと思います。しかし、その一方で会員専用のWEBページを介しての情報提供がまだできておらず、この点は非常に重要です。早急に対応して参ります。その他にも、セミナーやワークショップ、さらには会員間のコミュニケーションを促進するための新しいプラットフォームの開発も視野に入れています。また、複数の分科会が中心となって若手向けの国際ワークショップInternational Workshop on Advanced Experimental Mechanics for Students and Young Researchers 2022 (IWAEM ’22)を2022年11月25〜26日にオンラインで成功裏に開催できました。本年度はこれを11月24〜25日に現地(大阪梅田)とオンラインでのハイフレックスで開催する予定です。本年の開催形態の結果をもとに今後の在り方を考えたいと思っております。このようなイベントが若手研究者にとって非常に有益であり、彼らの成長とともに学会自体も新たな活力を得ることができると考えています。さらに、2025年に予定している新しい国際会議の開催について、計画がまとまり次第、できるだけ早く会員の皆さまにお知らせしたいと思っています。
実験力学は、物理現象を観測し、測定し、解析し、理解することを目的とする多面的な学問です。日本実験力学会の目的にも、「実験力学分野における学術・技芸の目覚ましい進歩・発展に呼応してその対象分野を拡大し、新進の研究者を糾合するべく学会の体勢を新しく構築・整備するとともに正会員数の増強を図り、かつ学会の拡充を通して斯界の学術・技芸の発展と各種産業への応用に貢献すること」とあります。この言葉は私たちが目ざすべき方向性を明確に示しています。その目的達成のためには、高度な技術や知識が必要なことは言うまでもありませんが、さらには現代の研究には、人工知能(AI)と付き合っていく必要があります。AIは、大量のデータや複雑なモデルを扱うことができる強力なツールですが、それだけでは不十分であり、それ自体が目的ではありません。AIが作ったものを吟味する能力が必要です。この点において、我々が持つ専門的な知識とスキルが非常に重要です。AIと上手に付き合っていくことで、実験力学の分野で新たな価値や貢献を生み出していただきたいと願っております。
近年の社会的な変化、特に産業界での実験力学の重要性が高まっていることを受け、本会は産業界との連携をどのように強化するか理事会で検討して参ります。このような取り組みを通じて、実験力学がさらに多くの産業や研究で役立つよう努力していきたいと思っております。
最後に、会員の皆さまが活発に活動でき、さらに会員数も増えていくような学会にするため、これからも会員の皆さま方と共に、学会運営に取り組んでいきたいと思っております。私たちは一つ一つの小さな成功が大きな成果につながると信じています。会員の皆さまには、今後とも一層のご協力とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
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