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The Japanese Society for Experimental Mechanics
日本実験力学会
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2018年度日本実験力学会学会賞表彰 選考結果報告

2018年度日本実験力学会学会賞受賞者が選考委員会において決定しました.2018年度年次講演会総会(平成30年8月28日,山梨大学)において表彰式を行い,受賞者には表彰状と記念のメダルが贈呈されました.

(敬称略)
特別賞 (功績賞) 1件

鈴木 新一(豊橋技術科学大学)

受賞理由:鈴木新一氏は,高速破壊力学分野における光学的測定法の確立とその方法を運用したき裂先端応力場,き裂分岐に関する研究などにおいて顕著な業績を有している.特に,「パルスホログラフィ顕鏡法」および「ホログラフイ・コースティック法の開発およびそれらの方法を用いた高速分岐き裂進展挙動の解明,き裂先端における特異応力場の評価に関する研究成果は国内外において高い評価を受けており,高速破壊力学における光学的計測法を基盤とした実験力学分野の進展に多大な貢献をした研究者の一人であると言える.
一方,受賞者は,2006年度より評議員となり,その後,2010年度からは,将来計画担当特任理事,編集理事,副会長,会長を歴任され,永く本会の発展に寄与すると共に,2011年度には年次講演会の実行委員長を務めた.
以上のように,鈴木新一氏は,衝撃破壊力学の光計測技術を基盤とした実験力学分野における学術・技術の進歩および学会の企画・運営に貢献するところが極めて大きく,特別賞(功績賞)に値する.
論文賞 2件

足立 忠晴(豊橋技術科学大学),松川 直樹(豊橋技術科学大学),高溝 千広(豊橋技術科学大学),石井 陽介(豊橋技術科学大学)

受賞論文:電磁誘導による小形衝撃体の衝突時の衝撃荷重の測定方法,実験力学,Vol.17,No.3(2017),pp.231-236.
受賞理由:本論文では,センサーなどを取り付けることが困難である小形衝撃体が構造物を貫通する際の衝撃荷重および構造物の変形の時間的変化を測定する方法を提案している.すなわち,衝撃体に磁石を埋め込み,試験片付近に設置されたコイルを貫通するときに生じる誘導起電力から衝撃荷重および試験片の変形を求めている.複数のコイルを使用することで精度よく測定することを可能にしている点は高く評価できる.よって,本論文は実験力学的意義が高く,論文賞に値する.

古川 裕之(名城大学)

受賞論文:低アスペクト比におけるテイラー渦流れのPIV解析による流れ構造解明に関する研究,実験力学,Vol.16,No.2(2016),pp.168-174.
受賞理由:本論文では,これまで実験では詳細に示されていなかったテイラー渦流れの速度場について,PIV法を用いて各モードの速度分布を定量的に解析し,数値計算結果と比較することにより,流れ構造の解明につながる解析手法を構築している.特に,アスペクト比が小さい場合の流れについて詳細に解析し,実験ではあまり報告例のないツインセルモードの速度分布について解析し,エクストラ渦がモード形成,遷移に対して大きな影響を及ぼすことを明らかにしている点は高く評価できる.よって,本論文は実験力学的意義が高く,論文賞に値する.
技術賞 2件

高橋 秀行(JFEスチール)

受賞研究:スロットノズル先端角度のワイピング性能への影響,実験力学,Vol.15,No.3(2015),pp.217-224.
授賞理由:連続溶融亜鉛めっきライン(CGL)は自動車用鋼板など最終製品を製造する設備であるため,美麗な表面外観をもつ鋼板の製造が強く求められるが,中でもワイピング工程は外観品質および生産性を決定づける最重要工程に位置づけられる.本論文は,このワイピング工程のめっき絞り能力に対するスロットノズル先端角の影響について,実験を行うことで定量化し,さらに風速測定,数値解析結果を援用することで,そのメカニズムがメニスカス形状変化を介して発現することを示している.本論文で論じられているワイピングノズル先端角度はノズル設計における最も基礎的項目の一つであり,その設計指針が得られたことは実用上重要な結果であり,学術的のみならず技術的にも価値があると認められ,技術賞に値する.

木本 啓介(計測リサーチコンサルタント),松田 浩(長崎大学)

受賞研究:中小橋梁の点検におけるSfMの活用方法の比較・検証,実験力学,Vol.17,No.4(2017),pp.290-297.
授賞理由:受賞者らはUAVがまだ普及する前に軍艦島の3D計測を実施し,その有用性と有効性を確認するとともに,多くの歴史的建造物に対して実用にかなう3D計測を進めている.また,最近では,本計測技術を橋梁に適用し,簡易的に高精度で3次元劣化情報を取得する計測システムを構築するとともにマニュアル化を目指している.この成果は,地方自治体が管理する約66万橋の中小スパン橋梁の点検に対して有用な技術であり,建築分野のBIMや土木分野のCIMの発展に大きく寄与する技術であると認められ,技術賞に値する.
奨励賞 1件

佐藤 光桜(東京理科大学大学院博士前期課程2年)

受賞研究:高温環境下におけるCFRPの界面強度評価,日本実験力学会講演論文集(2017年度年次講演会),No.17(2017),pp.183-184.
授賞理由:受賞者は,実施するのが困難とされているマイクロドロップレット試験に関して,自らその試験機を開発し,実施している.このマイクロドロップレット試験は繊維/樹脂の接着界面をはがす試験であるが,評価方法が今まで確立されていなかった.受賞者は実験で得られた試験荷重を境界条件の一つとする綿密な数値解析を実施し,真の界面強度を導く手法を確立している.また,この手法にて高温環境下での界面強度評価を実施し,繊維/樹脂界面強度には顕著な温度依存性がみられないことを明らかにしており,奨励賞に値する.

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Last Updated Sep. 18, 2018