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The Japanese Society for Experimental Mechanics
日本実験力学会
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2006年度日本実験力学会学会賞表彰 選考結果報告
(敬称略)
特別賞(功績賞)1名

隆 雅久(青山学院大学)

授賞理由:
隆雅久氏は,日本実験力学会およびその前身である日本光弾性学会の中心的存在として重責を担われた.また,光弾性・光粘弾性解析手法の普及とそれらを用いた時間依存性材料の力学挙動や破壊挙動の研究および国内外の学会等を通して行われた種々の活動は,功績賞に値する.
略歴
昭和38年3月慶応義塾大学工学機械工学科卒業
昭和43年3月慶応義塾大学大学院工学研究科機械工学専攻博士課程単位取得退学
昭和43年4月青山学院大学理工学部機械工学科専任講師
昭和44年4月青山学院大学理工学部機械工学科助教授
昭和49年3月米国ピッツバーグ大学客員準教授(昭和50年3月まで)
昭和54年4月青山学院大学理工学部機械工学科教授
現在青山学院大学理工学部機械創造工学科教授
学会活動(抜粋)
平成3年4月〜平成8年3月日本機械学会材料力学部門実験力学研究会主査
平成5年4月〜平成7年3月日本機械学会国際交流部会長
平成8年6月〜平成10年6月米国SEM Executive Board Member
平成13年3月日本機械学会フェロー
平成14年1月〜平成15年12月日本実験力学会会長
平成15年6月米国SEM Fellow
平成16年6月〜平成17年6月米国SEM Vice President
平成17年6月〜平成18年6月米国SEM President-Elect
受賞
平成3年6月日本光弾性学会論文賞
平成6年11月青山学院大学学術褒章 「三次元光弾性応力・ひずみ自動解析システムの開発」
平成9年7月日本機械学会100周年功労賞
平成10年4月日本機械学会材料力学部門貢献賞
平成12年6月日本光弾性学会論文賞 "A New Method for Photoelastic Fringe Analysis from A Single Image Using Elliptically Polarized White Light" ほか
平成14年6月米国SEM Peterson Award (Best Application Paper) "Experimental Analysis of Rolling Contact Stresses in A Viscoelastic Strip"
平成17年3月日本実験力学会論文賞「光弾性重畳スライスモデルにおける位相差・方位角の分離」
論文賞 2件

岩城智香子((株)東芝),Cheong, K. H.(筑波大学),文字秀明(筑波大学),松井剛一(近畿大学)

「管群を横切る流れの速度・温度場画像計測」実験力学, Vol.4, No3, pp.39-43 (2004)
授賞理由:
本論文では、熱交換器内の複雑な熱流動特性を明らかにするために、可視化モデルを作成し、全視野計測を行った実験結果について報告している。このような複雑体系の全視野計測は照明光が構造物と反射、屈折し、不均一となるため一般的に困難であるが、屈折率調整法と蛍光トレーサの使用により、これらの問題を解決している。この点で、複雑体系の熱流動解析実験に際して新しい手法を示したといえる。また、その結果は、従来得られていなかった流場全体にわたる瞬時の熱流動を明らかにしており、熱交換器の設計に重要な指針を与えた。以上のように、本論文で示された実験手法とその結果の両方を高く評価することができ、論文賞に値する。

直江 崇(茨城大学大学院),二川正敏(日本原子力研究所 (現、日本原子力研究開発機構)),内藤 明,井岡郁夫,粉川広行

「球接触多層モデルを用いた逆解析による傾斜表層部の力学特性評価」実験力学, Vol.5, No.1, pp.15-21 (2005)
授賞理由:
本論文では、インデンテーション法と有限要素法を組み合わせることによるマイクロ、ナノメーターオーダーの応力・ひずみ曲線を求める方法を示している。すなわち、球状圧子を用いて実測した加重深さ曲線に対して数値解析とカルマンフィルターを融合した逆解析法を導入し、深さ方向に分布を持つ材料表層部の力学特性を評価可能な新手法を提案している。さらに、本手法により核破砕中性子照射条件下を考慮したイオン照射および水銀浸漬による固/液金属界面の材料劣化特性を定量的に評価している。本手法は、今後ますます重要となるマイクロ、ナノメーターオーダーの微視的領域の力学特性を評価するための極めて重要かつ普遍性があるとともに、本手法により評価した固液体金属界面の材料特性は今後の核破砕中性子源の開発に非常に有益である。以上の理由により、本論文は論文賞にふさわしい。
技術賞 1件

横山 隆(岡山理科大学),中井賢治

T. Yokoyama and K. Nakai: Characterisation of interlaminar shear strength of a unidirectional carbon/epoxy laminated composite under impact loading, Proceedings of the 4th International Conference on Advances in Experimental Mechanics, (2005), 191-196.
授賞理由:
著者らは、積層複合材の重要な強度特性である層間せん断強度tILLS、とくに測定が困難な衝撃荷重下での層間せん断強度を精密に測定する方法を開発した。すなわち、ASTM(アメリカ材料試験学会)に規定された2重切欠きせん断試験片を採用して、一方向強化カーボン、エポキシ複合材の最大変形速度約1.6m/s(dg/dt=830/s)での衝撃層間せん断強度を、通常の圧縮型ホプキンソン棒を利用して精密に決定した。せん断破壊発生時に試験片に作用する衝撃圧縮荷重をホプキンソン棒法により決定し、静的な評価公式に基づいて衝撃層間せん断強度を評価した。評価公式で仮定された試験片の両切欠き間のせん断応力分布の一様性は、平面応力条件下での有限要素解析より立証した。調べた変形速度範囲内では、試験した複合材の速度依存性は認められなかった。この傾向は同種の一方向強化カーボン/エポキシ複合材について、他の研究者が異なる手法により測定した結果とほぼ一致しており、本測定結果の妥当性が確認できた。本手法は得られる最大せん断ひずみ速度がdg/dt≒1000/s以内に制限されるが、複合材の面外(層間)せん断強度だけでなく、面内せん断強度の測定にも適用できる有効な試験法であり、技術賞に値する。
奨励賞 2名

村澤 剛(山形大学)

「複合材料の変形挙動の解析」
(1) 村澤剛、小池陽介、東郷敬一郎、隆雅久:適応力理論のポリマー材料の除去挙動への適用、実験力学, Vol.4, No.2, pp.108-114. (2004)
(2) 村澤剛、米山聡、東郷敬一郎、隆雅久:形状記憶合金複合材料の特殊機能制御に関する基礎的研究、実験力学, Vol.3, No.3, pp.172-178. (2003)
授賞理由:
著者は、デジタル画像相関法を基にしたひずみ分布計測システムを開発し、形状記憶合金または形状記憶合金を活用した新しい複合材料の変形挙動を計測してきた。また、複合材料で用いられる樹脂が粘弾塑性の複雑な変形挙動を示すことに着目し、その変形挙動を解析的に記述することを試みた。さらに、生体骨が力学的負荷の下で電気的反応を示すスマートマテリアルであることに着目し、この変形・電気的特性の調査を行ってきた。このように、著者は主にスマートマテリアルに対して実験力学的手法でその変形挙動の計測を行ってきたが、その成果には注目に値するものがある。また、将来の成長が大いに期待できる人物であり、奨励賞に値する。

篠田祐馬(日本工業大学大学院)

「落下衝撃を受ける液体製品用容器の液体挙動と衝撃圧に関する研究」
(1) 篠田祐馬、梅崎栄作、二瀬克規:高速度カメラによる落下衝撃を受ける液体製品用容器内の液体挙動の観察、日本実験力学会講演論文集、No.5(2005), 175-179.
(2) 篠田祐馬、梅崎栄作、二瀬克規:落下衝撃を受ける液体製品用容器内の液体挙動と衝撃圧、日本実験力学会講演論文集、No.5-1(2005), 17-20.
授賞理由:
液体製品用容器として利用されているプラスチック容器や紙容器は、再利用されないまま廃棄処分されることが多く、環境問題や資源の有効活用の面から、プラスチック使用量の軽減や紙資源の有効利用が望まれている。著者らは、このような問題点を解決するために、新しい容器すなわち再生紙から作製された外箱に液体を内包したプラスチックフィルム製袋を入れるものを開発し、新しい容器の耐落下衝撃特性は、従来の紙容器よりも優れていることを確認している。このように、本研究は各種液体製品用容器の開発に大きく寄与するものであり、一連の研究を担ってきた著者の資質と能力は高く、奨励賞に値する。

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Last Updated September 18, 2008