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The Japanese Society for Experimental Mechanics
日本実験力学会
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2005年度日本実験力学会学会賞表彰 選考結果報告
(敬称略)
特別賞(西田賞)1名

益田義治 氏(埼玉工業大学)

「たて衝撃を受ける有限長の柱の応力応答の高速光弾性解析」平成16年7月 日本実験力学会論文賞
授賞理由:
益田義治氏は,光弾性法を中心とした研究活動に目覚しいものがあり,光弾性法の普及にも尽力した.また,本会の前身である日本光弾性学会の発足以来,理事として永く本会の発展に寄与し,引き続きバイオメカニクス分科会の主査として活躍した.このように,日本実験力学分野における学術・技術の進歩・発展に対する功績は大であり,西田賞に値する.
論文賞 2件

渡辺文明 ((株)日本ヒューレットパッカード),水谷義弘(東京工業大学),Ihor V. Berezhnyy(University of Central Florida),隆 雅久(青山学院大学)

「光弾性重畳スライスモデルにおける位相差・方位角の分離」実験力学, Vol.2, No4, pp.264-269 (2002)
授賞理由:
著者らは,光弾性法による3次元応力解析の実現に大きく近づく研究,すなわち,光の透過方向において応力状態が異なり主応力の方向が変化する状態を想定して,2枚の2次元試験片を重ねあわせることにより,それぞれの方位角と位相差の測定が可能であることを明らかにした.この方法を発展させることにより3次元応力解析の可能性を示唆した.このように,本論文は独創的で優れており,論文賞に値する.

山口卓郎 ( ※非会員のため、表彰対象外),井口 学(北海道大学),植村知正(関西大学)

「Behavior of a small single bubble rising in rotating flow field」実験力学, Vol.4, No.2, pp.128-135 (2004)
授賞理由:
著者らは,実験の難しい回転場における回転楕円体気泡の上昇特性を詳細に調べ,気泡は螺旋状の軌跡を描きながら浴の回転中心,すなわち速度の小さな方へ向って移動する機構を明らかにした.この成果によって,この分野の今後の基礎・応用研究に寄与する所大なるものがある.このように,本論文は独創的でかつ学術的意義が極めて高く,論文賞に値する.
技術賞 2件

藤垣元治(和歌山大学),森本吉春(和歌山大学),高 騫(天津衆泰科技発展有限公司)

「デジタルマイクロミラーデバイスを用いた位相シフト走査モアレ法による形状計測」実験力学, Vol.2, No.1, pp.50-54 (2002)
授賞理由:
筆者らは,光学素子DMD(Digital Micro-mirror Device)とCCDを組み合わせて,1画素ごとに独立して動作する高速のシャッター機能をもった新 しいカメラを開発した.さらに、このカメラと位相シフト走査モアレ法を組み合わせることにより,実時間で形状を計測する手法を開発した.製造ライ ン上の部品の形状検査の高精度化および高速化に応えるもので,実験力学的にも意義深く,工業的にも有用であり,技術賞に値する.

鈴木新一(豊橋技術科学大学),坂上賢一(青山学院大学)

「高速度ホログラフィ顕微鏡法による高速分岐き裂の開口変位とエネルギー解放率の測定」
(1) S. Suzuki and K. Sakaue, Measurement of crack opening displacement and energy release rate of rapidly bifurcating cracks by high-speed holographic microscopy, Proc. of Int. Conf. Advanced Technology in Experimental Mechanics 2003 (Nagoya, Japan), (2003), Paper No. OS01W0244 (CD-ROM)
(2) 鈴木新一, ホログラフィ・コースティック法, 実験力学, Vol.3, No.2, pp.59-6 4 (2003)
授賞理由:
著者らは,高速度ホログラフィ顕微鏡法を用いて撮影した高速進展き裂が分岐する瞬間写真から,き裂分岐の前後におけるエネルギー解放率の測定を可能とする技術を開発した.また,ホログラフィ法の応用として,ホログラフィ・コースティック法を開発し,動的応力拡大係数測定の信頼性を格段に向上させた.このように,この技術は高精度計測の要求に応えるもので,工業的にも有用であり,技術賞に値する.
奨励賞 3名

井口大亮(北海道大学大学院・研究生)

「底吹き液体噴流によって攪拌される二相成層円筒浴の旋回運動の周期と振幅」実験力学, Vol.4, No.3, pp.216-221 (2004)
授賞理由:
井口大亮氏は,従来その存在が知られていながら,基本的な特性についてもほとんど言及されていなかった円筒容器内における液体旋回噴流の発生領域,旋回周期,振幅,旋回開始時間,旋回終了時間を実験的に明らかにして,実験式を提案するとともに,液体旋回噴流を用いた高速攪拌法の実用化に際して必要となる多くの貴重な情報を得ている.本攪拌法は北海道において,既に工業分野はもとより農水産業分野においても,用いられつつある.このように,今後の研究の発展が期待でき,奨励賞に値する.

岡本卓也(岡山理科大学大学院修士課程)

「積層複合材(CFRP材,GFRP材)の衝撃圧縮・せん断特性の測定」
(1) 横山 隆, 上野 剛, 岡本卓也, 新しい衝撃3点曲げ試験法による積層複合材の層間せん断強度測定, 日本実験力学会講演論文集, No.3, pp.350-354 (2003)
(2) 横山 隆, 岡本卓也, CFRP材の板厚方向の衝撃圧縮特性, 日本材料学会第53期学術講演会講演論文集, pp.327-328(2004)
(3) 岡本卓也, 横山 隆, 中井賢治, CFRP材の板厚方向の衝撃圧縮応力―ひずみ特性, 日本実験力学会講演論文集, No.4-2, pp.155-160 (2004)
(4) 岡本卓也, 横山 隆, 中井賢治, 積層複合材の板厚方向の衝撃圧縮挙動, 日本機械学会第12回機械材料・材料加工技術講演会講演論文集, No.04-15, pp.217-218 (2004)
(5) 横山 隆, 中井賢治, 岡本卓也, 応力反転SHPB法によるチタン合金の衝撃圧縮特性評価と変形組織の微視的観察, 第48回日本学術会議材料研究連合講演会講演論文集, pp.317-318 (2004)
授賞理由:
岡本卓也氏は,慣用材料に比して異方性が著しく,一般に強度評価が困難なCFRP,GFRP材の衝撃圧縮・せん断特性を,ホプキンソン棒法を適用して精度よく測定することに成功した.これらの研究成果に基づき,同一のカーボン繊維を強化繊維とするCFRP材でも強化形態によりその衝撃特性が大きく異なることを明らかにした.本研究は複合材の強度評価の研究分野では注目されており,今後の発展が期待でき,奨励賞に値する.

川戸良太(日本工業大学大学院博士前期課程)

「電子スペックル干渉法による複数の部分圧縮負荷を受ける上顎歯モデルの変形測定」日本実験力学会講演論文集, No.4-2, pp.298-333 (2004)
授賞理由:
川戸良太氏は,歯の矯正分野において重要である,歯を目標位置まで移動させるために必要な負荷の大きさと方向を決めるための基礎研究として,歯科モデルの変形を測定した.すなわち,電子スペックル干渉法を用いて,部分的に圧縮負荷を受ける歯科モデルの表面の変形を調べ,圧縮負荷が作用する歯と歯の支持組織の変形の関係の詳細を明らかにした.今後,歯の矯正分野に大きく寄与することが期待でき,奨励賞に値する.

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Last Updated October 17, 2005