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The Japanese Society for Experimental Mechanics
日本実験力学会
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日本実験力学会の新たなる未来に向かって

日本実験力学会  会長   田 邊 裕 治 




 2019年徳島大学で開催されました総会におきまして、澤井 徹 前会長の後を引き継いで第17期の会長を拝命することとなりました。どうか宜しくお願いいたします。これまでの歴代会長および執行部の方々が学会の運営ならびに発展のためにご尽力されてきたその成果を振り返りますと、その責務の重さに、身が引き締まる思いです。学会のさらなる発展に向け、理事会、評議員会、事務局ならびに国際シンポジウム担当委員会、産学連携センター等とも連携を図りながら、鋭意努力をして参りたいと考えております。
 日本実験力学会が日本光弾性学会の発展的改組によって2001年に発足し、来年2020年で20周年という節目の年を迎えます。2019年は改元されて平成から「令和」となり、2020年には東京オリンピックの開催、時代は正に新しく生まれ変わろうとしていることを感じます。この20年間で変わったこと、それは「Society 5.0」という言葉に代表されるように高度情報化社会の一層の進展ではないでしょうか。IT、IoT、AIなど、科学技術の成果を誰もが手に届くものとして私たちは享受しています。ビッグデータやデータサイエンスは流行りの言葉となり、今や科学技術の世界で溢れています。高度情報化は「エンタルピー増大の法則」に従った自然の摂理であり、情報量の飛躍的増大あるいは秩序ある世界から無秩序な世界への遷移とも解されるこの法則に従えば、今の社会で起こっている諸々のことは至極当然のことと言ってしまうとnegativeな言い方になってしまうでしょうか。実験力学という学術分野へもIT、IoT、AIの導入は今後益々、積極的に行われるものと考えられます。それは普通のこととして、「力学(Mechanics)」を冠するからには、曰く「The word “mechanics” was used by Galileo as a subtitle to his book Two New Sciences (1638) to describe force, motion and strength of materials」(Y. C. Fung, Biomechanics, 1981)と力学とは何かが示されているように、原理原則の探求や原理原則に基づく考究を大切にして欲しいと願っています。国際連合のSDGs(Sustainable Development Goals)にも関係すると思いますが、行き着く先が無秩序な世界であったとしても私たちの叡智によってそのゴールに向かう速さを減じる(限りなくゼロに近づける)ことは可能であると信じています。実験力学の貢献を切に願う次第です。
 学会の運営ですが、次の学会を担う世代の育成、そして運営の円滑な継承が大切であると考えています。議論はありましたが、澤井 徹 前会長のご努力により理事の任期が今期17期より1年となりました。前々期と同じ任期に戻されたことになりますが、運営組織の新陳代謝を図ること、多くの会員の皆様に学会運営の機会を持って頂きたいこと、そしてこれによって時代に適応した斬新な考え方の下、常に会員のための且つ社会に寄り添った学会を構築すること、これらを再認識した結果の任期の変更であると理解しています。その趣旨を十分に考慮して実践すべく努めていきたいと思います。
 学会の目標ですが、先ずは会員数の増だと思います。そのためには(というか表裏一体の)学会の魅力向上が必要です。学会誌「実験力学」や英文誌「AEM」への投稿論文数増、その源となる年次講演会やISEMへの参加者数増、を図らなければなりません。本学会は日本学術会議登録学会となり、このことは「実験力学」掲載論文のJ-STAGEによる公開(すでに実行済み)に加えて論文投稿の動機付け向上に繋がったと思います。「AEM」については従前より言われているESCI(Emerging Sources Citation Index)への登録が重要で、これは会員の皆様方の他英文誌への投稿の際の「AEM」の引用が鍵となりますので、ご理解とご協力をお願いしたいと思います。本学会は分科会活動が基盤で、それに支えられてきた歴史があるとお聞きしています。また、関係者のご努力によりISEMという国際会議を立ち上げて国際交流活動、加えて英文誌「AEM」の発行、を積極的に展開してきたこともお聞きしています。これらの個々の活動の継続と発展は勿論のこと、相互の連携と協力も、本学会の未来への発展には必須のものです。利他の心を持って学会活動にご協力をいただけましたなら幸いです。
 2019年度(第17期)、2020年度(第18期)の2年間、さらに魅力ある学会とするため、会員の皆様方と共に、学会運営に取り組んでいきたいと思います。最初にも述べさせていただいたところですが、2020年度(第18期)は日本実験力学会の創立20周年にあたります。20年目からさらに未来を目指して飛躍するための企画を考えたいと思います。日本実験力学会・会員の皆様方のご支援とご協力よろしくお願い申し上げます。



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Last Updated Oct. 17, 2019