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The Japanese Society for Experimental Mechanics
日本実験力学会
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会長就任にあたりまして

日本実験力学会  会長   格 内  敏 



 2015年度の新潟での総会におきまして,第14期の会長を拝命することになりました.歴代会長をはじめ先輩諸氏のご努力により発展を遂げてきました本学会を引き継ぐことに職務の重責を痛感し,改めて身の引き締まる思いがしております.本学会が会員の皆様に役立ち,更なる発展を遂げるべく副会長,理事等の役員,事務局のご協力の下,全力で努力いたす所存ですので,皆様のご協力を宜しくお願い申し上げます.
 日本実験力学会は,1975年に設立された日本光弾性学会を引継ぎ,より広範囲の実験力学を対象とする多様性のある学会活動を目指して2001年に発足しました.本学会では「実験手段・計測技術の進歩と新実験事実の発見」とを両輪として,時代のニーズにより活動範囲を柔軟に変化しながら,広範囲な学問分野を対象に横断的な学会活動が行われてきました.今日では固体,熱流体,生体,環境,建設,エネルギー等様々な分野の研究者が参加しています.
 以下に本学会の現状を見据えて主要な課題について確認し,今年度の活動を進めて参ります.
 本学会は分科会活動を重視する特色を持っています.これは,実験手段・計測技術が広い学問分野で使用されているためであり,学会では比較的容易な分科会設立条件を満たせば,誰でも自由に設置して研究活動・発信が可能になります.僅かですが補助金も準備されています.また分科会の合同ワークショップが年1回開催されて成果発表や問題が提起され,その解決に当っては異分野の研究者も参加して討論が成されます.開催は各地の観光リゾートが選ばれることが多く,普段とは異なる環境で実施されます.合同ワークショップに若手研究者が多く集まり,自由な雰囲気で討論することで,研究に新たな展開が起きるような場になればと思っています.研究を進めるには,横断的な研究のセンスを磨くことは重要であり,また人のネットワークは大変に心強いものとなります.
 現在,学会誌「実験力学」の論文は,発行と同時に電子ジャーナル化されてJ-Stageで無料公開されています.その結果,会員が執筆した最新論文は多くの研究者に直ぐに読む機会が与えられ,学会の発信力が促進されました.一方,本学会では海外の実験力学関連の学会と連携を深めると共に,独自の活動として国際シンポジウムISEM(International Symposium on Advanced Science and Technology in Experimental Mechanics)を毎年国内外で1回開催し,その精選論文集が学会誌のSpecial Issueとして2007年から発行されてきました.なお,今秋には独立した新たな英文誌AEM(Advanced Experimental Mechanics)が発行されます.ISEMの後は,AEMへの投稿を宜しくお願いします.
 8月下旬から9月上旬には年次講演会・総会が開催されます.講演会では「実験力学」のキーワードの下,横断的な多様な学問分野の研究成果について聴講し討論することが可能であり,年次講演会は広い学問分野における実験手段・計測技術の情報交換と交流の機会となります.
 本学会には社会貢献活動の一環として産学連携支援センターが設置され,大学と産業界の間の情報の橋渡し的役割を目指してきました.しかし,大学での研究の機密保持性や,産業界の限られた時間・資金による成果のノルマ性に対する産学間の意識の違い等の問題もあり,産学連携支援センターでは進め方の方針転換が実施されます.詳細は会告「産学連携の窓」をお読み下さい.
 一方,ここ数年間に継続審議されてきたものに「財政健全化対策」と「会長・理事の2年任期」があります.本学会では,事務局のボランティアによるご努力と共に,会員の方へのサービスを落とすことなく諸経費を精査して改善策を実行することで,財政健全化を図ってきました.学会の基本的な収入源は会費収入と投稿論文費用(査読等がボランティアによるため),および賛助会費・広告の収入等です.本学会の2011年頃の会員数は400名程度でしたが,現在では40名程度減少しています.学生会員数が例年50名程度ですので,これは正会員と賛助会員の減少によるものです.団塊の世代が定年退職の時期を迎え,また経済成長の足踏みによる賛助会員の減少に対して,新たな会員増加が望めなかったためと考えられます.一方,この間の大学の法人化に伴い,研究者を取り巻く環境は大きく変化して,研究経常費が大幅に削減されたことも要因と思われます.学会の会員数減少と財政健全化問題は,多くの学会でも共通の課題ですが,学会の歴史,規模,特色等により,その対策は異なります.学会が常に魅力ある「会員のための学会」であるためには,改善のための施策の継続性を加速させることが不可欠です.学会で中長期的な施策を実施するには,現在の会長・副会長・理事の1年任期,評議員・監事の2年任期の組織は,継続審議を進めるには不向きであるとの考えで,会長・副会長・理事の2年任期案が審議されてきました.本案は年次講演会における評議会・総会で承認されますと,2017年度から実施されます.
 今年度は「持続ある財政健全化対策」と「学会誌・電子ジャーナルの環境整備」等について,引続き検討を進めて参りたいと思います.本学会ならではのユニークで価値の高い論文を多く投稿して頂きますよう,会員の皆様のご支援とご協力をお願い申し上げます.



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Last Updated September 10, 2016