赤外線サーモグラフィ分科会 赤外線サーモグラフィによる実験力学計測に関する研究調査 主査:坂本 英俊 熊本大学工学部知能生産システム工学科 〒860-8555 熊本市黒髪2-39-1 TEL:096-342-3735,FAX:096-342-3729 幹事:塚本 公秀 鹿児島工業高等専門学校 機械工学科 〒899-5193 霧島市隼人町真孝1460-1 TEL:0995-42-9106,FAX:0995-42-9106 赤外線の存在は,ウィリアム・ハーシェル(1738-1822)によって1800年に発見されました.ウィリアム・ハーシェルは,天文家・音楽家として活躍しましたが,最も有名な業績は1781年天王星を発見したことです.インターネットでウィリアム・ハーシェルについて検索してみても,記事のほとんどが天文家としての解説で,赤外線の存在を発見した科学者としての記述は多くありません. 赤外線が発見されてから現在に至る200年間に,赤外線を計測する技術が進歩してきました.熱型あるいは量子型赤外線検出器の開発を経て,20世紀後半には赤外線放射強度の分布を画像で測定する赤外線サーモグラフィが開発され,様々な科学技術計測の分野に普及してきました. 赤外線サーモグラフィが開発されてから現在まで,優れた赤外線センシングデバイスの開発と信号処理技術の進展を背景に,赤外線サーモグラフィは飛躍的に進歩してきました.単一あるいは少数の赤外線検出器を使用し,鏡を動かす走査光学系により二次元画像を構成する機械走査型赤外線サーモグラフィから,二次元赤外線アレイセンサを搭載した機種,さらには非冷却型赤外線サーモグラフィへと進歩を遂げています.赤外線サーモグラフィの性能は,赤外線計測の分解能,精度,安定性,計測速度,画素数,あるいは小型・軽量化等,すべての面において向上してきています. このようなハードウエアの飛躍的な進展とともに,赤外線サーモグラフィを用いた応用計測技術も着実に進歩を遂げてきています.赤外線映像からの目標物識別,医学分野における人体表面温度計測に基づく疾病診断,人工衛星からの地球観測,宇宙からの赤外線を計測する赤外線天文学,工業プラントにおける温度管理,物体表面温度計測に基づく非破壊検査,熱弾性温度計測に基づく赤外線応力測定法など,現在,様々な赤外線サーモグラフィを応用した計測が行われています. 当分科会では,赤外線サーモグラフィによる実験力学計測法に関して広く話題を集めて,最先端の研究の紹介および情報交換を行って行く計画です.特に,熱弾性効果に基づく赤外線応力計測については,計測装置の急速な進歩,応力分離手法の進展,他の実験力学計測法とのハイブリッド化など,多くの興味深い話題が存在しますので,本分科会でも中心的なテーマの一つとして取上げて行きたいと思っています. 具体的な活動計画を以下に示します.
|