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衝撃工学分科会
主査:横山 隆
岡山理科大学工学部機械システム工学科
〒700-0005 岡山市理大町1-1
TEL:086-256-9580,FAX:086-255-3611
幹事:三村耕司
大阪府立大学大学院工学研究科 機械系専攻機械システム工学分野
〒599-8531大阪府堺市学園町1−1
TEL:072-254-9209(直通),FAX:072-254-9904(機械事務室)
研究対象とその歴史的発展
最初に「衝撃工学」の研究対象とその歴史的発展について紹介したい.衝撃工学の定義は明確ではないが,広義には「種々の衝撃・衝突現象に関連する工学全般」と言えよう.この分野の研究は固体内の弾塑性波の伝ぱや材料の衝撃強度に関連して,1940代後半に軍事的な面から始められたと言われている.従来の研究報告は,主に「応用力学」関係の雑誌に発表されてきたが,1983年に英国ケンブリッジ大学のW. Johnson教授(当時)が主催して高速塑性加工法の立場から,衝撃関連研究の国際雑誌として「International Journal of Impact Engineering」をPergamon Pressより発刊した.このとき以来「Impact Engineering」という用語が定着したようである.近年,とくに自動車衝突時の乗員の安全性を確保するために,エアーバックの装着を始めとして,効率的な衝撃エネルギ-吸収機構の研究開発が,広く材料,構造面から活発に行われており,改めて衝撃工学の重要性が認識されつつある.
研究活動の現状
さて我が国における衝撃関連研究は,どのような学会で取り組みがなされてきたかを省みながら,現状を再確認してみよう.昭和56年に材料学会内に「衝撃部門委員会」が設置され,理工学における衝撃・衝突現象に関わる諸問題の研究発表・討論の場を提供している.塑性加工学会には「高エネルギ-速度加工分科会」(昭和60年〜)が設置されて,主として高速塑性加工法や超高圧を利用した新素材の創製などへの応用面に力点をおいて研究情報交換を行っている.土木学会には構造工学委員会内に「衝撃実験法・解析法の標準化に関する委員会」(平成11年〜)があり,主として鋼・コンクリートはりの衝撃実験法の標準化などに焦点を当てている.鉄鋼協会には「自動車用材料の高速変形研究会」(平成9年〜12年)が設置され,自動車の衝突安全性に関連した諸問題が検討されてきた.また鉄鋼協会と自動車技術会が共同で「自動車用材料共同調査研究会」(平成7年〜)を主催しており,自動車の軽量化と鉄鋼材料を調査してきた.軽金属学会では,「アルミニウム合金の動的変形と強度研究部会」(平成9年〜12年)が設置され,アルミ合金を対象として衝撃強度や動的破壊じん性などの衝撃特性の調査を行ってきた.建築学会では,阪神大震災を契機に応用力学運営委員会内に「地震による衝撃的破壊現象に関する小委員会」(平成11年〜)が設置され,地震荷重下でのビル・橋梁などの構造物の種々の破壊現象が調査されている.また新エネルギ産業技術総合開発機構(NEDO)の知的基盤創成・利用技術研究開発事業にも「衝撃関連研究課題」がいくつか取り上げられいて,活発な研究活動がなされていることを付け加えておく.
今後の活動方針
このように衝撃関連研究は,現在多数の学会に横断的に広がって関心が高まっているが,衝撃材料試験といえばシャルピ試験と見なされる程,一般の研究者には十分認識されていない面もあることもまた事実である.この「衝撃工学」分科会の活動を通じて,本学会の発展に寄与できるように努力すると共に,他の分野の研究者の関心を引きつけ,研究者層が少しでも拡大することを期待している.「衝撃」に関心を持たれている会員諸氏の積極的な参加を期待する次第である.
今後,分科会では本学会の他の関連する分科会とも連携を取りつつ,研究会を開催し活動していく予定である.さらに衝撃関連の国際シンポジウムや国際会議の主催学会などに積極的に加わり,その存在を国内だけでなく,国際的にもアピールするようにしたい.
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Last Updated February 22, 2006