土木工学及び建築学分科会 主査:小宮一仁 千葉工業大学工学部建築都市環境学科 〒275-8588 千葉県習志野市津田沼2-17-1 Tel: 047-478-0449,Fax: 047-478-0474 幹事:内海秀幸 千葉工業大学工学部建築都市環境学科 〒275-8588 千葉県習志野市津田沼2-17-1 Tel: 047-478-0447,Fax: 047-478-0474 1.当分科会における活動 土木工学と建築学の専門家がジョイントして技術・研究開発や問題の解決に取り組んでいる場は,実験力学会の創設を待つまでもなく,従来からさまざまなものがある.大きなものでは土・地盤に関わる建設技術を専門につくられた地盤工学会が現在わが国12番目の規模を有する学会に発展し,ここの英文論文集は極めて高い国際的評価を受けていることで名高い.また土木学会と日本建築学会の構造工学系の専門家がジョイントして毎年構造工学シンポジウムが開催されており,この論文集も高い評価を受けている.この他,日本材料学会にも土木工学・建築学に関わる部門があるし,日本コンクリート協会のような専門分野別につくられた社団法人・財団法人の協会を列挙し始めると与えられた紙面ではもたなくなってしまう. このような現状の中で,実験力学会における土木工学及び建築学分科会(以下土木建築分科会と略す)の仕事や運営方針を考え,実際に運営を行うことは,まことに大変なことなのではあるが,実は筆者自身は,実験力学会の土木建築分科会にある種の期待を感じている.この期待は,現在筆者が得ることができる実験力学会の内容から察するに,土木建築分科会だけが他の分科会とは異なる性格を有していると思うことに因るのである.このことは分科会紹介の最後に述べるとして,まず土木工学・建築学の内容のうち実験力学に関係する専門分野を次のようなグループに分けてみることにする.
以上のような分類は,既に土木工学や建築学では一般的に用いられているものである. さて,このように分けて見ると,それぞれのグループに材料力学があり,ほとんどのグループに境界値問題的な要素が存在している.そして各グループは取り扱う材料の性質によってほぼ分かれている.また先に挙げた土木工学と建築学とのジョイントが,ひとつのグループの内だけの集まりであることもわかる.詳しくは,本誌別稿に記したのでここでは省略するが,土木工学と建築学は建設対象物によって役割を分担しているため,似たような材料を相手にする分野では土木工学・建築学相互に共通する問題や話題が多く,ジョイントもし易いということになるのである.ところが,複数のグループをまたぐジョイントは意外と少ないのが現状のようである.これは,土木工学,建築学それぞれの内だけを見ても言えることのようである.ここに,実験力学会における土木建築分科会の役目が見えてくる.すなわち,力学という共通言語のもとで,解明のために実験という手段に用いるという前提は,先にあげたような土木工学・建築学におけるグループすべてに共通することができ,またすべてのグループの参加を受け入れることができると考えられるからである. 元来,土木工学や建築学は,工学の大家(おおや)としての性格を有しているらしい.英語名のCivil Engineeringは,Military Engineeringに対する反意語であり,文明社会を育み安全で快適な市民生活の維持・向上を目指す工学はすべてCivil Engineeringであるという解釈からである.実験力学会における土木建築分科会が他の分科会と異なる性格を有していると考えた訳もここにある.他の多くの分科会は,既に専門の中のより鋭い専門あるいは研ぎ澄まされた目標に向かって邁進して行く強さを感じさせる.これに対し土木建築分科会は,実験力学という場で,土木工学と建築学の実験力学に関係するすべてのグループを包括する大きな寄り合い所帯になれればと考えている.このため,最初は,特に具体的な目標や目的を挙げることをせず,土木建築分科会に興味をもっていただいた会員相互の研究発表及び情報・意見交換をメインに運営を行いたいと考えている.相似則,相互作用,計測技術等々,既存のグループ内だけでは得ることのできない情報が,このような活動を通して得られ,より高度な実験の実行及びそれに基づく成果に結びつけばと考えている.土木建築分科会に多くの会員の皆様に参加していただき,ご希望・ご意見をお寄せいただければ幸いと考えている次第である. |