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The Japanese Society for Experimental Mechanics
日本実験力学会
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2007年度日本実験力学会学会賞表彰 選考結果報告

2007年度年次講演会総会(平成19年8月7日,埼玉大学東京ステーションカレッジ)において表彰式を行い,授賞者には表彰状と記念のメダルが贈呈されました.

(敬称略)
特別賞(功績賞)1名

森本 吉春(和歌山大学)

授賞理由:
「実験力学分野における独創性および有用性のある種々の計測法の開発および実験力学分野における学術・技術の進歩・発展・向上における功績」
森本吉春氏は,実験力学の分野において,画像処理を用いた新しい方法を多数提案し,計測解析の自動化,高速化,高精度化を実現した.特に,応力・ひずみ測定において,各種光学的方法を用いて,高精度に,実時間で全視野計測を可能にする独創的な方法を数多く開発した.また,本会の理事,副会長,会長として,永く本会の発展に寄与し,活躍した.このように,日本実験力学会分野における学術・技術の進歩・発展に対する功績は大であり,功績賞に値する.
略歴
1968年-1974年研究員、小松製作所技術研究所
1974年-大阪大学基礎工学部助手,1981 講師,1985 助教授
1989年米国バージニア工科大学客員研究員(10カ月)
1993年-和歌山大学経済学部教授,1995 システム工学部教授,2005 理事
2007年和歌山大学理事/副学長
学会活動(抜粋)
日本光弾性学会幹事 1991-1993、理事 1993-2001
日本実験力学会副会長 2001-2003,会長 2004-2005,全視野計測法標準化分科会主査 2001-,日本実験力学会実験力学高度専門術士 2006,2001年度分科会合同ワークショップ大会長,2002年度年次講演会大会長
日本機械学会実験力学先端技術研究会主査 1995-2000,実験力学先端技術国際会議組織委員長 1997,フェロー 2002-
米国実験力学会(Society for Experimental Mechanics)論文編集委員 1998-2001,国際顧問2003-2006,理事2006-
アジア実験力学委員会委員長 2003-
受賞
昭和63年日本非破壊検査協会論文賞「格子法によるひずみ解析の画像処理による自動化」
平成2年日本機械学会論文賞「フーリエ変換を用いたモアレ法によるひずみ解析」
平成8年日本光弾性学会論文賞「ウェーブレット変換による光弾性しま次数決定法など」
平成9年日本機械学会創立100 周年記念特別表彰
平成15年日本非破壊検査協会論文賞「ラインセンサを用いた走査モアレ法による高速高精度形状・欠陥検査」
日本機械学会材料力学部門2003 年度業績賞「実験力学の分野における一連の独創的研究業績」
Society for Experimental Mechanics, B.J.Lazan Award, 「画像処理技術分野における貢献,とくにモアレ干渉法の適用」
2005年度日本実験力学会技術賞「デジタルマイクロミラーデバイスを用いた位相シフト走査モアレ法による形状計測」
論文賞 2件

新川和夫(九州大学),馬田俊雄(九州大学)

「非定常高速き裂進展挙動の実験解析」実験力学, Vol.6, No.2, pp.169-174 (2006)
授賞理由:
著者らは,一回の高速き裂進展中に明確な加速,減速さらに再加速をさせることができる試験片形状と負荷方法を提案し,以前に著者らにより開発された二像面高速度撮影技術を応用することにより,非定常高速破壊現象を解析した.その結果,動的応力拡大係数が,試験片形状や負荷方法に依存せず,き裂速度と加速度の2つのパラメータで表示できることが明らかになり, 力学的に重要な知見が得られた.このように,本論文は独創的でかつ学術的意義が極めて高く,論文賞に値する.

坂本 信(新潟大学),佐藤憲二(新潟大学),田邉裕治(新潟大学),小林公一(新潟大学),村田冬樹(新潟大学),坂井 淳(新潟工業短期大学)

「ラット大腿皮質骨の力学的性質と骨密度との関係」実験力学, Vol. 5, No. 1, pp. 40-44 (2005)
授賞理由:
著者らは,骨組織の力学的特性を検討するために,pQCTを用いる骨密度測定法により得られた単位体積当たりの骨密度と,ナノインデンテーション試験法により得られた弾性率および硬さの関係を調べ,骨の弾性率および硬さと骨密度の間に正の相関があることや,ラット大腿皮質骨の弾性率と骨密度の相関は,ヒトのそれと定量的にほぼ一致すること等を明らかにした.この成果によって,整形外科分野に寄与する所大なるものがある.このように,本論文は独創的で優れており,論文賞に値する.
技術賞 1件

大参達也 氏(北海道大学),高遠将史 氏(北海道大学),井口 学 氏(北海道大学),松浦清隆 氏(北海道大学)

金属部材の成形と同時に部材内部に任意形状のマイクロチャンネル網を形成する自由形状マイクロチャンネル形成法の開発
(1) 大参達也,高遠将史,井口 学,松浦清隆,工藤昌行:高塩用金属系マイクロチャンネルデバイスの創製法, 実験力学,Vol. 5,No. 3, pp. 234-238(2005)
(2) 特許 発明者:大参達也,松浦清隆,工藤昌行,井口 学 技術の名称:微細空隙を備える金属部材の製造方法  特願2004− 86370,特開2005− 272914
授賞理由:
著者らは,金属部材の成形と同時に,部材内部に任意形状のマイクロチャンネル網を形成する自由形状マイクロチャンネル形成法を開発した.本技術は,マイクロチャンネルの形成と同時に金属間化合物等の合金から成る内壁被覆層をその場形成するという他に類例のない特徴を有している.したがって,チャンネル内壁を機能材料で被覆してマイクロチャンネルデバイスの高機能化を図る技術へと発展する可能性を秘めている.このように,この技術は工業的にも有用であり,技術賞に値する.
奨励賞 2名

森田康之(九州大学)

(1) 森田康之, Dobroiu, A,大谷知之,川瀬晃道:テラヘルツ波によるフレキブルパッケージに生じる微小漏れ欠陥のリアルタイム検査,日本実験力学会講演論文集,No.5, pp. 187-190 (2005)
(2) Morita, Y., Dobroiu, A., Otani, C. and Kawase, K.: Terahertz Technique for Real-Time Detection of Defectsin the Seal of Flexible Plastic Packages, Proc. of the 2005 SEM Annual Conference and Exposition on Experimental and Applied Mechanics, CD_Paper No.107 (2005)
授賞理由:
森田康之氏は,最近実用レベルに達した新しい電磁波領域であるテラヘルツ波を用いて,フレキシブルパッケージ製品の製造時に生じる欠陥を検出する非破壊検査システムを開発した.このシステムを用いることにより,実際の製造ラインより高速な場合でも,フレキシブルパッケージのヒートシール部に生じる数十μm 程度の大きさの微小欠陥が検出可能であることを明らかにした.今後,この非破壊検査方法は,フレキシブルパッケージ製品の製造時に生じる欠陥検出に大きく寄与することが期待でき,奨励賞に値する.

李 志遠(和歌山大学)

(1) 李 志遠,藤垣元治,森本吉春,松井 徹:DMD反射式CCDカメラにおけるモアレパターンを用いた画素対応の調整手法,実験力学,Vol. 5,No. 4,pp. 361-366(2005)
(2) 李 志遠,藤垣元治,松井 徹,森本吉春:DMDカメラを用いた広輝度レンジ位相解析法,日本案験力学会講演論文集,Vol. 6,pp.25− 30(2006)
(3) 李 志遠,藤垣元治,松井 徹,森本吉春:DMD反射式CCDカメラにおけるモアレパターンを用いた画素対応の調整手法,日本実験力学会講演論文集,Vol. 5, pp. 140-145 (2005)
(4) 李 志遠,藤垣元治,松井 徹,森本吉春:デジタルマイクロミラー(DMD)の光学的計測への応用例,日本実験力学会講演論文集,Vol. 4,No. 3, pp. 25-30(2004)
授賞理由:
李志遠氏は,画素ごとに制御できるDMD反射式CCDカメラ(DMDカメラ)の開発を目的として,DMDデバイスの各ミラーとCCD素子の各画素の画素対応を簡単かつ定量的に実施できる,モアレパターンを用いた画素対応の調整手法や,画素オーダー以下のオーダーで調整が可能な位相シフトモアレ法を考案した.これらの成果は,光学的形状計測分野において注目されており,今後の発展が期待でき,奨励賞に値する.

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Last Updated April 30, 2009