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The Japanese Society for Experimental Mechanics
日本実験力学会
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2003年度日本実験力学会学会賞 選考結果報告

日本実験力学会2003年度学会賞選考委員会委員長
森本吉春

 本年度より,日本実験力学会学会賞の授賞が行われることになり,表彰規定(実験力学,2巻4号,pp.291-294)および募集会告(実験力学,3巻1号,pp.48)に基づき,2003年度学会賞選考委員会により,以下のように2003年度日本実験力学会学会賞受賞者を選定し,理事会で決定した.7月11日の総会において表彰する. 特別賞は規定では1件となっているが,今回は2件が授賞対象となった.今回の授賞対象者は2件とも日本光弾性学会時代から活躍した人で,日本光弾性学会から日本実験力学会に改組後2年間学会賞を出していないので,今年に限り,2件に授賞することを決定した.
(敬称略)
特別賞 2名 

西田賞 1名:宮田忠治(神奈川大学)

 宮田忠治氏は,長年にわたって三次元光弾性応力凍結による実験的応力解析法に取り組んで,その実用化に貢献し,さらにこの手法を駆使して,ボルト・ナット締結体の振動によるゆるみについて,その機構,要因を系統的に解析した.その結果として,工業上極めて有効なナット自体にすべてのゆるみ防止機構をもたせたスカート付きナットを提案し,試作したゆるみ試験機による実験法ならびに光弾性法により,その耐ゆるみ性能を実証し,重要部分の締結に実用化されている.このように実験力学における功績は大であり,西田賞(光弾性学分野の功績賞)に値する.

貢献賞 1名:澤 芳昭(東京理科大学)

 澤芳昭氏は,本会の前身である日本光弾性学会において,1970年1月の設立時以来22年間にわたって,その事務局を担当し,その専門とする光弾性実験法の正統を継いだ研究の経験を生かしつつ,学会運営と実験力学発展の基盤の確立に貢献した.また,日本実験力学会への移行時において副会長として,日本実験力学会の設立を円滑ならしめた.このように日本光弾性学会および日本実験力学会の発展に貢献するところ極めて大であり,貢献賞に値する.
論文賞 1件(4名)

岩城智香子,K.H.Cheong,文字秀明,松井剛一(筑波大学)

「管群を横切る流れの可視化画像計測」実験力学,Vol.2, No.3, pp.195-200, (2002.9)
 著者らは,熱交換器などに見られる管群を横切る流れの可視化を行いその挙動を明らかにした.熱交換器などに見られる管群を横切る流れについては,流れの詳細構造はまだ十分に解明されておらず,著者らは,管群の屈折率と流体の屈折率を一致させる工夫を行って,流れ場を明瞭に観測し,PIV計測により,熱交換器をモデル化した可視化試験装置において,流れ場全体にわたる詳細な速度場および分布特性,管群のまわりに過渡場,乱流強度の分布特性や,管の背後に形成される渦構造の特徴などを明らかにした.本論文により得られた知見は熱交換器の設計に有用である.このように本論文は独創的で優れており,論文賞に値する.
技術賞 1件(4名)

松井剛一,文字秀明,寺内強,崔海晩(筑波大学)

「粒子/気泡の挙動と周囲流れの同時可視化計測と画像解析」
 松井剛一氏,文字秀明氏,寺内強氏,崔海晩氏は,固体粒子や気泡などの分散粒子の挙動と周囲流体の速度場を同時にとらえ,位置関係を明らかにした上で,それらの相互作用を調べることができる新しい計測法であるMOFIA (Moving Object-Flow Image Analyzer)を開発した.この計測技術は優れた独創的な技術であり,分散混相流の非定常流動計測を可能にし,時間平均した流動場を基に議論してきた従来の研究を大幅に進展させることが可能となった.この方法は,混相流以外にも,移動物体と流れ場の計測に用いることができ,工業的にも有用であり,技術賞に値する.
奨励賞 2名

山本裕子(和歌山大学大学院博士後期課程)

「2次元位相シフト法を用いたモアレ干渉法による熱変形計測」
 山本裕子氏は,モアレ干渉法を用いた実時間面内変位計測を目的として,4ビーム法に伴う不要干渉縞の除去方法や2種類の縞の同時位相解析を行う「2成分同時位相シフト法」や「2成分同時積分型位相シフト法」を開発した.これらの手法により,2方向変位成分の同時計測が可能となった.さらにフーリエ変換位相シフト法を2種類の縞の分離に適用し,より高精度化を行った.実物への適用例として電子部品の熱変形計測を行いその有効性を確認した.さらに高速化や使いやすいコンパクト化などの研究を進めており,今後の活躍が期待でき,奨励賞に値する.

佐藤良之(東北大学大学院博士前期課程)

「下顎遊離端義歯の擬似三次元光弾性法および三次元有限要素法による応力解析」
 佐藤良之氏は,歯科の分野における,下顎遊離端欠損に対して義歯による補綴処置を行った際に口腔内で発生する応力分布について解析を行った.口腔内の応力解析はこれまで光弾性を用いた二次元解析が多く行われてきたが,この方法では三次元的な応力分布を得ることは難しい.複雑な骨形態,複雑な力学場である口腔内の応力分布を三次元的に求めることが重要である.そこで,擬似三次元光弾性法と三次元有限要素法による応力分布を解析し,光弾性法と有限要素法がよく一致することを確認した.歯科の分野に三次元有限要素法を取り入れることにより,義歯の形状設計の発展が期待でき,奨励賞に値する.
教育賞 該当者無し

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Last Updated February 6, 2004